失語症
言葉の障害・・・・大きく2種類に分けられる①構音障害②失語症
①構音障害
舌や口唇や咽頭や声帯などの、言葉を話すときに使われる器官の運動や知覚の障害によって上手に話すことができなくなる症状。
呂律が回らない、という症状。
②失語症
言葉そのものの障害。→話すことだけでなく、人の言葉を聞いて理解する、物の名前を言う、文字を読んで理解する、文字を書く、などが困難となる。
言葉に関する様々な能力が障害されている
→①と②の違い
・構音障害は言葉自体には障害がなく、ものの名前を思い出したり、人の言葉を理解することには障害はない。
・失語症は、言葉について話す以外の能力にも障害がある。
失語症の原因となる代表的な疾患は脳血管障害、そのなかでも脳梗塞。
脳の中で言葉の領域は左脳にあることが多い。左脳梗塞で失語症を起こすのが典型的。
失語症は認知症とは異なる。言葉は障害されるが、物事を考えたり判断したりする能力は保たれている場合もある。
言葉の調子やイントネーション、ジェスチャー・表情や絵は理解されることも多い。
言葉の症状は、常時同じとは限らない。緊張した場面ではいつも以上に言葉が出ないこともある。リラックスした状況で打ち解けた会話を心がけていく。
失語症では、「言葉の受け皿」が小さくなってしまっている状態。長い文章や早口言葉はその受け皿からこぼれ落ちてしまうため理解できなくなる。ポイントは、文を短くゆっくりと話す。
50音表は役に立たないことが多い。失語症は「音」の操作に障害があるため、「音」だけで表すひらがなは理解できないこともある。むしろ、具体的な意味を持つ漢字のほうが理解されやすい場面もある。
(リハビリナースより引用)
リハビリ病棟では脳梗塞後のリハビリのため入院している患者さんも多くいます。上記に書いたような失語のある患者さんもいます。
失語と認知症とは異なると書いていますが、高齢で入院前より認知機能の低下があった患者さんもいれば、入院による環境の変化から認知機能の低下をした患者さんもいます。
はっきり言ってしまえば、失語なのか認知症なのかを区別することは難しいし、正直病棟内での生活や退院後の生活にその区別は必要ないのだと感じます。
先日の出来事です。
看護師歴20年越えの先輩が患者さんと話していました。80代の患者さん、脳梗塞後の障害にて失語があります。とてもやさしい雰囲気の患者さんなのですが、正直何を話されているのか理解することが難しいのです。
それでも、先輩看護師は普通に会話してるんです。
どうしてスムーズな会話ができるのか尋ねました。
「ニコニコしているときは、うれしかった出来事とかそういうのを伝えたいから、よく分からなくても笑顔で接すればそれでいいんだよ。でも、困った表情をしていたり、なにか手に持ったものを差し出してきたときは、それについて手助けをしてほしいときだから、真剣に聞きだすんだよ。全部が全部理解できなくてもいいんだよ、そんなに患者さんも求めてないと思うしね。」と言っていました。
わからないことがあるとすぐ教科書を広げたり調べたくなってしまう性分なのですが、生活をする上では、雰囲気だったり表情だったりを感じ取る能力の高さが、看護の質を高めていくんだなと改めて思った出来事でした。